古くから伝わってきた伝統芸能。
日本にはたくさんの種類がありますが、今回は、伝統芸能の奥深さを知ることができ、初心者でも楽しく親しめる本を3冊ご紹介します。
読んだ後には実際に足を運びたくなること間違いなしです!
絵で知る歌舞伎の玉手箱
いつの時代も庶民の娯楽だった歌舞伎。
役者さんの演技、音楽、衣装。すべての要素が響きあって成り立つ舞台です。
この本では、ストーリーや衣装・小道具のコンセプトなど見どころをカラーの挿絵付きで演目ごとに紹介!
歌舞伎ファンも、これから歌舞伎に親しもうという方にも、歌舞伎の面白さをずい~っと教えてくれる手引書です。
仏果を得ず
「仏果を得ず」は文楽の世界に生きる青年の成長を描いた青春小説です。
文楽とは人形劇のこと。人形と、曲を奏でる三味線、噺を語る大夫(たゆう)で演じられ、その中でも、主人公・健は大夫として芸を磨いていきます。
ある時、健は変人と名高い三味線・兎一郎とコンビを組むよう、師匠から命じられます。渋々いいつけに従う健ですが、評判通りマイペースな兎一郎にすっかり振り回され気味。さらにある女性との出会いが、健の芸への姿勢を揺るがすことに・・・。
一生かけての芸の道。ひょっとすると重い雰囲気になりそうなところですが、文楽に真剣に取り組みながらもコミカルな登場人物たちの活躍を中心にライトに描ききっているので、文楽に親しみがなくても楽しめる物語です。
落語に生きる人間たちのヒューマンストーリー。
刑務所の落語慰問会で八代目有楽亭八雲の「死神」を見てから、すっかり彼の大ファンになってしまった与太郎。出所後、その足で寄席へ向かい、八雲に弟子入りを志願します。
『落語心中』はただ落語という芸界を見せるだけでなく、登場人物一人一人の歩んできた道のりや抱えてきたもの、人物同士の関わりを描いたヒューマンドラマの要素も強い作品。芸を身に着けていくことの厳しさと苦しさが痛いほど伝わってきます。
昭和後期、かつての活気も衰退していく一方の落語界で、たくさんの人に落語を聞いてほしい、落語の良さを教えたいという与太郎の熱い思いは、果たして実を結ぶのでしょうか。
手塚治虫文化賞新生賞など受賞歴多数。2016年・2017年にアニメ、2018年にドラマ化。