4月6日、本屋大賞が発表されました。
ノミネート作はこちらの記事で紹介しています ↓
ノミネートされた10作の中から選ばれたのは・・・・
逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』でした!
さらに、翻訳小説部門はソン・ウォンピョンさんの『三十の反撃』、発掘部門は吉村昭さんの『破船』が選ばれています。
今回の記事では、これらの受賞作を読んだ感想をまとめてみました!
破船
昭和57年に刊行された作品。
物語は村に住む少年の目を通して語られます。
破船というのは座礁した難破船のことで、村人たちはその船に積まれている荷物をアテにしているのです。
米や酒、衣類など貧しい村人には手の届かないものばかり。
破船の乗員は殺してしまい、荷物を強奪する。村の風習にはわざと船の座礁を促している節もあり、今の倫理観では非道な行いですよね。
それゆえの結末には極悪非道は許されないという著者の意思があるようにも思いますが、どうでしょうか。家族を売るほどの貧しい村ですから、白黒つけ難いお話です。
この本が今"発掘"されたのは、警鐘の意味合いもあるのかもしれませんね。
三十の反撃
韓国の作家ソン・ウォンピョンさんの作品。
ソン・ウォンピョンさんは、2020年『アーモンド』で、本作と同じく本屋大賞翻訳小説部門で1位に選ばれました。
こちらの記事で紹介しています。
『アーモンド』では感情の分からない少年のドラマを描ききりましたが、本作『三十の反撃』の主人公は、会社にも自分にも期待することをやめてしまった30才の平凡な女性。
先の見えない人生、夢や目標もいつしか途絶え、せめて社会とはぐれないようにともがく。
この生き辛さは、国は違えど、日本で暮らす私たちにも重なる部分があるのではないでしょうか。
そんな、窮屈に生きてきた彼女が、ある日偶然に出会った人たちとともに、理不尽な世の中に小さな石を投げる。
いたずらのような反撃で世界を変えることはできないけれども、彼女の胸にはかすかな日が灯り…。
自分の人生を生きる。
ドラマチックではないけれども、迷ったり悩んでいる背中をそっと押してくれる、そんなお話だと思います。
同志少女よ、敵を撃て
最後は2022年本屋大賞受賞作、逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』。
時代は1942年、ヒットラー率いるドイツ軍との戦いの前線、ソ連軍に女性だけで編成された狙撃小隊がありました。
その中の一人であるセラフィマには、自分の住む村がドイツ軍の急襲に逢い、母と村の人たちが眼前で惨殺されたという過去が…。
村で狩りの名手と謳われた彼女は、銃を手にドイツ軍への復讐を誓い、戦争の渦中に身を投じるのです。
読みやすい文体ながら、内容は重く、読み進めるのが怖い、辛い場面の連続。
戦争というテーマの中には、女性たちへの理不尽な暴力も含まれており、残虐さがありありと描き出されています。
ロシアのウクライナ侵攻、ユダヤ人の虐殺、慰安婦、原爆…読みながら色々なことが頭を過ぎりました。
同志とは。敵とは。
戦争は誰が始め、誰が終わらせるのか。
戦争で受けた傷はいつ癒えるのか。
国が違っても時代が違っても、目を背けてはいけないものがあると思いました。
まとめ
いかがでしたか?
逢坂冬馬さんはデビュー作での受賞ということで、これからの活躍がとても楽しみです!
他のノミネート作も、時間を掛けて読んでいこうと思います。
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【夜明けのすべて/瀬尾 まいこ】 #読了
— ちこやま (@chiko_yama398) 2022年4月14日
それぞれ身体に困難を抱えた美紗と孝俊。
他人に見えにくい辛さは、心も視野も狭くしてしまう。
分かり合おうとすることで自分自身も前を向く。病の有無に関わらず、他人をきちんと正面から見ることの大切さを訴えてくる作品。https://t.co/gHUxpq8Dha
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