メリークリスマス!
今回は、 クリスマスがテーマの小説 を集めました。
聖夜の読書に、いかがですか?
クリスマス・キャロル
世界中で愛される、もっとも有名なクリスマスストーリー
人嫌いでひねくれ者の老人が、3つの時間旅行のなかで自分の生き方を見つめ直していくこの物語は、イギリスの作家チャールズ・ディケンズによる、心温まるクリスマスストーリーです。
この本が刊行された当時、イギリスにはまだクリスマスを祝う習慣がありませんでした。しかし『クリスマス・キャロル』に描かれる、 クリスマスを祝う人々の温かさ が多くの人の胸を打ち、今のクリスマス文化へと繋がりました。 世界中の多くの世代に愛され、映像、舞台、アニメなど、さまざまなコンテンツで楽しめるのも魅力です。
イラストレーターの北澤平祐さんと装丁家・中嶋香織さんによる、 可愛いらしい装丁の本。オスカー・ワイルドの童話『しあわせな王子さま』との二本立てです。
クリスマスも営業中?
"クリスマスの町"で雑貨屋を営むメリーは、クリスマスも間近にせまったある夜、何者かに殺害された男の死体を発見する。警察の捜査が始まるなか、悪評によって町を訪れる観光客は激減。メリーたちは無事に事件を解決し、町に、もとの賑わいを取り戻すことが出来るのか…。
“クリスマスの町“に忍び寄る黒い影…聖夜にピッタリのコージーミステリー
気軽に楽しめるコージーミステリーは、素人探偵が事件を解決するのが定番ですが、この本には、探偵役は登場しません。遺体の発見者となった主人公メリーが、町の安寧を取り戻そうとするなかで事件に巻き込まれていく、というストーリーが描かれます。
この本の一番の魅力は、なんと言ってもその舞台です。まるでクリスマスマーケットのような光景が一年中続くルドルフは、"クリスマスの町“として評判の町。オーナメントや雑貨、可愛らしいお菓子が店々に並び、イメージそのままのサンタクロースがお出迎え。想像するだけでウキウキしてくる、愛らしい町なのです。クリスマスの気分がググッと高まること間違いなしのミステリー。
くるみ割り人形とねずみの王さま
クリスマスイブ、くるみ割り人形をプレゼントしてもらったマリー。夜、ガラス棚に人形を並べようとしていた彼女は、不意に夢の世界へ迷い込んでしまう。そこでは、マリーのくるみ割り人形が、7つの頭のネズミに戦いを挑んでおり…。
現実と夢を行き来する、ロマンチックファンタジー
E.T.Aホフマンの名作「くるみ割り人形とねずみの王様」は、チャイコフスキーのバレエ『くるみ割り人形』の原作としても有名です。
マリーのもらったくるみ割り人形は、実はネズミの呪いで醜い姿に変えられた少年であり、マリーは彼とともにネズミにたち向かおうとする、というストーリー。マリーとくるみ割り人形とのロマンチックな恋も描かれ、クリスマスにピッタリのメルヘンな作品です。
布張り・箔押しと、ぜいたくな作りの大人向け絵本。美しいデザインのイラストは、部屋に飾っておきたくなるような可愛らしさです。
サンタのおばさん
サンタは女性じゃいけないの?温かなメッセージを伝えるクリスマス絵本
"サンタ会議"というユーモラスな設定の中で、 「女性はサンタになれないのか?」 という、広く言えば、ジェンダー差別をテーマにした絵本です。社会派な内容ですが、個性豊かなサンタたちのやり取りや、可愛らしいイラストには思わず笑みがこぼれます。
ストーリーを担当しているのは、作家の東野圭吾さん。ミステリーやサスペンス作家として人気の東野さんが、絵本も手がけているのは意外ですね。
私は小学生の時に、この絵本に出会いました。"サンタの会議"というのが愉快で、何度も読み返すお気に入りの本でした。当時は、「反対するサンタは意地悪だなあ」と、シンプルにとらえていた気がします。後年、作者を知ってとても驚いたのでした。
飛ぶ教室
希望と勇気、少年たちの成長をさわやかに描いた名作
学校の寮で暮らす少年たち、中でも、個性豊かな5人の少年の、成長と友情の物語です。 心浮き立つクリスマスシーズン、少年たちの周りでは、他校の生徒との諍(いさか)いを始め、さまざまなトラブルが持ち上がります。それを、時には大人の力も借りながら、仲間と協力し、知恵を出し合って乗り越えていく彼らは、とても爽やかです。
この本が書かれたのは、1933年のドイツ。ちょうど、ナチスが政権をとった年でした。文芸も制限されるなか、勇気や友情をテーマにした『飛ぶ教室』は、多くの人に感動を与えたそうです。