岩手県出身の有名人、みなさん誰を思い浮かべますか?
最近の人だと、野球選手の大谷翔平くんも岩手出身ですが、本に囲まれる生活をしている私が筆頭にあげるのは、童話作家で詩人でもあった宮沢賢治です。
私も東北出身なのですが、地元を離れるまでは、
「宮沢賢治って、東北の中だけで有名な人でしょ?」
なんて思っていたんですよね。笑
なので、図書館で働き始めて、宮沢賢治の本が貸し出されたり、『注文の多い料理店』のお気に入りの場面を男の子が絵に描いて持って来てくれたりすると、びっくりしつつもとっても嬉しくなります。
今回は、岩手県出身で老若男女、地域問わず愛されてきた作家・宮沢賢治を紹介していきたいと思います!
宮沢賢治プロフィール
宮沢 賢治が生まれたのは今から120年以上前の1896年。場所は岩手県の花巻市です。
5人兄弟の長男で、妹が3人、弟が1人いました。
子どものころから勉強が良くできて、小学生時代は6年間全教科甲、大学には首席で合格したそうです。すごいですよね!
37歳という若さでこの世を去った賢治ですが、その一生の間にたくさんの仕事に打ち込みました。詩や童話制作のほか、農業や、地質の調査、教師をしていたこともあるそうです。
先生としての賢治は、教科書を開くよりも野外に出て自然と触れ合うような授業に重きを置いていたようです。
その斬新なやり方は生徒たちからも人気がありました。
さて、作家活動のほうはどうだったかというと、創作を始めたのはどうも大学時代のようです。
友人たちと文芸同人誌を作っていたんですね。
短歌の制作や文章を書くこともありました。
本格的に創作に打ち込み始めたのは、妹・トシが亡くなってからのこと。
トシは弟妹の中でも一番賢治と親しく、この妹の死を賢治は大変悲しんだそうです。
しばらく創作活動から離れ、半年が経った頃に再び詩作を始めます。
本も出しました。ほとんど売れませんでしたが、中原仲也など、この詩集に影響を受けた人物もいたようです。
1928年、32歳の頃。
肺を悪くした賢治は、実家での療養生活を余儀なくされます。
一度は回復し、詩を制作したほか、工場技師として働き始めますが、肺炎をわずらい、1993年に37歳でこの世を去りました。
しかし、生前に賢治から原稿を託された弟や、賢治に影響を受けた人たちの働きがあって、死後、数々の作品が日の目を見ることが出来ました。
そして宮沢賢治の名前も、世の中に広がっていったのです。
賢治の人柄が見える「雨ニモマケズ」
「雨ニモマケズ」から始まる文章をご存知ですか?
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ・・・
という出だしから、「謙虚に贅沢はせず、他人には親切であるように」という文章が続き、最後の一文は「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」と締めています。
これは宮沢賢治のメモに遺っていた文章です。
宮沢賢治は他人のためでも進んで働く人でした。
また、故郷の岩手の地や自然を心から愛していたことは、賢治の作品やエピソードからもうかがい知れます。
賢治はこれを作品のつもりで書いたのでしょうか。
それともふと 思いついた考えを書き留めたのでしょうか。
どちらにしても、賢治の温かな人柄や周りへの敬意を感じられますよね。
この「雨ニモマケズ」や生前のエピソードから私が思い描いた賢治の人物像は、とても誠実で、しかし誠実でいようとしすぎるあまりにちょっぴり頑固な姿です。
そういう不器用さも、賢治が愛されてきた一因なのかもしれません。
おすすめの童話4選
宮沢賢治の代表作の中から、特におすすめのお話を紹介します。
ここに載せた絵本のほかにも、宮沢賢治の短編集や全集でも読むことが出来るので、読みやすいものを選んでみてくださいね!
注文の多い料理店
山を歩く若い二人の紳士。
狩猟にやってきたものの、獲物を見つけられず、帰り道も分かりません。
途方に暮れていた時、紳士たちは一軒の西洋料理店を見つけます。 店に入ると、そこには『当店は注文の多い料理店です』という注意書きが。
これは、だいぶ流行っている店に違いありません。注文が多くて支度に手間取ってしまうのでしょう。
意気揚々と廊下をすすみますが、しかしなかなかテーブルにたどりつきません。
その代わりに妙な案内板ばかりに出会います。
『ここで髪をきちんとしてください』
『靴の泥を落としてください』
『鉄砲と弾を置いて行ってください』
どうも様子がおかしい。
二人が迷い込んでしまったのは、一体どんな店なのでしょうか。
言わずと知れた宮沢賢治の代表作のなかの代表作。
図書館に来る子どもたちにも人気が高いです。
これから宮沢賢治を読んでみようと思っている人の最初の一冊にオススメ。
よだかの星
よだかは醜い鳥です。
そのせいで他の鳥たちの嫌われ者。同じタカの名前を持つ鷹にいたっては、名前を変えろとまで言うのです。
ある夕方、とうとう鷹はよだかのもとを訪れます。
「名前を変えないなら、お前を殺してしまうぞ」
よだかは途方に暮れました。
自分は羽虫を殺して食べるけれど、僕は鷹に殺されるのだ。
それがつらい。
羽虫を食べずに飢えて死ぬか、いや、それよりも遠くの空へ行ってしまおう・・・。
悲しくて切ないお話ですが、私は宮沢賢治の童話の中で「よだかの星」が一番好きですね。
自分の芯を曲げないよだかの強さは、たくさんの人の心に響くと思います。
貝の火
ひばりの子を助けたお礼に、うさぎのホモイは、ひばりのお母さんから中で火がちらちらと揺れる美しい貝を受け取ります。
ホモイの両親は、「それは大変な宝で、ホモイが悪さでもすれば、中の火は消えて曇ってしまうだろう」と言って聞かせました。
次の日から、誰もがホモイに親切になりました。いつもはホモイをいじめるキツネまで、みんなです。
気をよくしたホモイは、キツネが盗んできたパンをもらい、モグラをいじめ、網に捕まった鳥も見捨ててしまいます。
お父さんとお母さんは、ホモイを厳しく叱りました。
「お前の大事な玉は、きっと曇ってしまっているよ」
しかし石を見ると、貝の火はまだ美しく燃えていました。それどころか、見るたびに美しさを増していくようです。
僕は何をしても平気なんだ!
ほっと、ホモイは安心します。ところが・・・。
「貝の火」は、ホモイの心をうつしたもの。
数々の悪さをしてしまったホモイは、最後に大きな罰を受けます。小さな子にはちょっと怖いかも。
共感しやすいお話なので、宮沢賢治初心者の方も読みやすいのではないでしょうか。
セロひきのゴーシュ
町の楽団でセロを弾くゴーシュ。しかし、あんまにりも下手なために、楽長にいじめられてばかりいました。
ゴーシュは家で一人、セロの練習を始めます。
するとその最中、ゴーシュの家を三毛猫が訪ねてきました。猫はゴーシュに、セロの演奏をせがみます。望み通り、ゴーシュはセロを弾いてやりました。
するとそれから、毎晩ちがう動物たちがゴーシュの家を訪れて、セロの演奏をせがんでいくのです・・・。
宮沢賢治の話の中でも、『セロひきのゴーシュ』は明るくユーモアにあふれたお話です。
動物たちの申し出を最初こそ迷惑がっていたゴーシュですが、だんだんに音楽への楽しさを覚え、セロひきも上達していきます。
さあ、動物たちとの猛特訓の成果は?
宮沢賢治が斬新に描く、楽しい成長物語です。
宮沢賢治が登場する本
ここからは現代小説から宮沢賢治にスポットを当てた作品を2点ご紹介します!
イーハトーブ探偵
宮沢賢治が、怪事件を解き明かす!?
教師のカトジは、生徒から「電信柱が歩いた」という不思議な話を聞く。
相談を受けた友人の賢治は、現場を検分し、この奇妙な謎をすっかり解き明かしてしまった・・・。
銀河鉄道の父
宮沢賢治の父・政次郎の目線から賢治の生涯を描いた、直木賞受賞作。
宮沢賢治ファン必読です!
まとめ
いかがでしたか?
宮沢賢治の世界にハマった方は、ぜひ賢治の故郷・岩手県の花巻市にも足を運んでみてください。
宮沢賢治記念館や童話村など、宮座賢治の世界をもっと楽しめる場所がたくさんありますよ ♪
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