侵攻により甚大な被害が出ているウクライナ。
今回は"海外文学に親しむ"という名目で、ウクライナ発祥の本を4冊ご紹介します。
空とぶ船とゆかいななかま
こちらはウクライナの昔話絵本です。
旅に出た若者は、道中、個性的でゆかいな男たちに出会います。
世界中の出来事に聞き耳を立てる"きき耳"。
ひとっとびで世界の裏側まで行ける"ひとっとび"。
千キロ向こうまでお見通しの"千キロおみとおし"……。
若者は彼らも旅に誘い、みんなでお城に向かうことにします。
さて、お城で待っていた王様は、飛ぶ船に乗ってきたのが世界一のまぬけとへんちくりんな男たちだと知ってびっくり。
とても王女にはふさわしくありません。
あの手この手で若者たちを追い返そうとしますが…。
どんな個性にもきっと活躍できる場所があること。違うもの同士だから助け合えること。
そんなことを教えてくれるお話です。
現代ウクライナ短編集
ウクライナを舞台にした短編集。
"ウクライナの空気を感じる"作品集とのことですが、発売が2005年と少し古い本なので、現在の国の雰囲気とはズレがあるかもしれません。
それはそれとして、ウクライナ文学に親しむにはぴったりの本です。
苦しい歴史を歩いてきた人たちによる物語は、幻想的で、あるいは物悲しい。
私個人は今までウクライナとの縁がなく、今の侵攻によって崩壊した町の映像をテレビで見るばかりですが、どんな景色、どんな暮らしから作者たちがこれらの話を生み出したのか、自分の目で見てみたかったなと悔しく思います。
原風景が失われてしまったことが、残念でなりません。
ペンギンの憂鬱
売れない作家のヴィクトルが依頼されたのは、まだ生きている人々の追悼記事をあらかじめ書き溜めておく、という仕事。
同居するペンギンのミーシャと慎ましやかに生活を送る彼ですが、この仕事を引き受けた日から、奇妙な出来事や謎めいた人々と出会うことに。
自分は一体何に巻き込まれているのか?
次第にヴィクトルは、つきまとう不穏な影に怯えるようになり…。
こちらは、ウクライナのロシア語作家アンドレイ・クルコフの作品。
約20ヵ国で翻訳され、国際的なベストセラーとなりました。
見えないものに絡め取られていく怖さ。
"不条理"が物語の一つのテーマのようですが、読んでいて特に印象に残ったのはしつこいほどに繰り返されるお金の話。
仕事の報酬は何ドル、プレゼントに何ドル、治療に何ドル…。
不条理な世界がまかり通るのは、お金の力なのかも?
本作の話から逸れますが、ペンギンって普通の家で飼えるの?と疑問に思い調べてみました。飼えるそうです。そうなの・・・?
てぶくろ
最後にもう一冊絵本を。
こちら日本での発売は1965年だそうですが、未だ定番絵本として読み継がれている作品です。
私も子どもの頃に読んだ記憶があります。
カエルを筆頭に手袋の住人は次々に増え、うさぎ、キツネ、オオカミ…お終いには7匹の動物が手袋の中で暮らすことに。
ぎゅう詰めどころではありません。みっちみちです。中は一体どうなっているのでしょうか。もしかして、巨人の手袋だったのかしら。
住人が増えるにつれ、改良される手袋も面白いです。
そして最後は、まるで夢か幻でも見たかのような余韻。
ウクライナの民話絵本です。
まとめ
いかがでしたか?
今はロシアの早急の撤退と、ウクライナに住むみなさんの安全を願うばかりです。
最後までお読みいただきありがとうございました!