2023年上半期 芥川龍之介賞・直木三十五賞候補作

 

6月16日、2023年上半期の芥川龍之介賞直木三十五賞の候補作品が発表されました。
今回の記事では、2つの賞の候補作をご紹介します。
 

芥川龍之介賞とは?

 
『羅生門』 『地獄変』などの作者、 芥川龍之介 の名を記念して制定された賞です。
新人作家が手掛けた、最も優秀な純文学の中・短編作品に贈られ、上半期・下半期の年2回、選考会が行われます。
1935年に始まり、2023年の上半期選考会で169回目を迎えました。
 
過去受賞作

 

168回 この世の喜びよ

井戸川 射子 

 

168回 荒地の家族

佐藤 厚志

 

167回 おいしいごはんが食べられますように

高瀬 隼子

 

166回 ブラックボックス

砂川 文次

 

2023年上半期 芥川賞候補作

 

それでは、2023年上半期の候補作を見ていきましょう!

 


我が手の太陽

石田夏穂

著者の石田夏穂さんは、2021年にも、デビュー作「我が友、スミス」芥川龍之介賞候補に選ばれました。今回の候補作「我が手の太陽」は、自他ともに認める熟練溶接工が主人公。ですが突然のスランプに見舞われ、日に日に職能と自負を失っていきます。それでも現場仕事をこなしたいと」切望する主人公は…。今注目の新人作家による、異色の職人小説です。

ハンチバック

市川沙央

ハンチバック」は、市川沙央さんのデビュー作。文學界新人賞を受賞しました。背骨が極度に湾曲した主人公は、グループホームの部屋から私大の通信課程に通い、コタツ記事を書いて収入を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、SNSで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とつぶやく。ところが、グループホームのヘルパーに、Twitterのアカウントを知られていることが発覚し——。迫力とユーモアで選考会に衝撃を与えたという圧倒的デビュー作。

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児玉雨子

「##NAME##」は、かつてジュニアアイドルの活動をしていた雪那が、少年マンガの夢小説にハマるところから展開するストーリー。著者の児玉雨子さんは、テレビアニメ主題歌やキャラクターソングを中心に幅広く作詞提供する作詞家の一面をお持ちです。小説家としては2021年誰にも奪われたくない/凸撃でデビューを果たし、本作が2作目になります。

エレクトリック

千葉雅也

小説家であり、哲学者である千葉雅也さん。2022年に出版した『現代思想入門』は、9万部を超えるベストセラーとなりました。候補作『エレクトリック』の舞台は、バブル崩壊後の1995年。高校生の少年がインターネットの世界に飛び込んだことで、ゲイのコミュニティを知ることに。家族との掛け替えのない生活と性の目覚めを描いた、文学の新境地です。


それは誠

乗代 雄介

 

修学旅行で東京を訪れた高校生たちが、コースを外れて小さな冒険を試みる。彼らが目指す場所は?その目的とは?なにげない日常に生の輝きが浮かび上がる感動作。作者の乗代雄介さんは、2015年、『十七八より』群像新人文学賞を受賞しデビュー、以降、野間文芸新人賞三島由紀夫賞を立て続けに受賞するなど、期待を集める作家さんです。

 

 

 

直木三十五賞とは?

 
『南国太平記』相馬の仇討』などを手掛けた 直木三十五 の名を記念し、新進・中堅作家によるエンターテインメント作品のから、最も優秀な作品に贈られます。芥川賞と同じく、上半期・下半期の年2回、選考会が行われ、2023年の上半期選考会で169回目を迎えました。
 
過去受賞作

 

168回 地図と拳

小川 哲 

 

168回 しろがねの葉

千早 茜

 

167回 夜に星を放つ

窪 美澄

 

166回 塞王の楯

今村 翔吾

 

166回 黒牢城

米澤 穂信

 

2023年上半期 直木賞候補作

 

それでは、2023年上半期の候補作を見ていきましょう!

 

骨灰

冲方

大手デベロッパーのIR部で勤務する主人公は、『火が出た』『いるだけで病気になる』『人骨が出た』という噂がささやかれる自社の建設現場の地下へ調査に向かう。そこで見つけたものは…。

時代小説やSF作品で人気を博してきた冲方丁さんですが、今回候補作に選ばれたのは、冲方さん初の長編ホラー作品。リアリティーのある世界観に、読者レビューは「怖すぎ!」の声多数です。


極楽征夷大将軍

垣根 涼介

「やる気なし」「使命感なし」「執着心なし」。『極楽征夷大将軍』で垣根涼介さんが描いたのは、”日本一だらしない”武将・足利尊氏。垣根さんに「調べれば調べるほどろくでもない男だった」と言わしめる尊氏。彼のような人物が権力の頂点へと登り詰められたのはなぜなのか。謎に包まれた初代将軍の秘密を解き明かす歴史小説


踏切の幽霊

高野 和明

高野和明さんにとって、『ジェノサイド』以来、11年ぶりの新作。非常停止が相次ぐ踏切で撮影された一枚の心霊写真。雑誌記者の松田は心霊ネタの取材に乗り出すが、やがて幽霊事件にまつわる思わぬ真実に辿り着く。1994年冬、東京・下北沢が舞台の幽霊小説。しかし、本作はホラー作品ではなく、ゴースト・ストーリーとのこと。読後に残るのは、恐怖か、それとも…?


香港警察東京分室

月村 了衛

国際犯罪に対応すべく、日本と香港のメンバーで構成された特殊共助係「香港警察東京分室」が設立された。彼らの初の共助事案は、香港でデモを扇動、さらに助手を殺害して日本に逃亡した人物を逮捕すること。しかし、捜査にあたる特殊共助係分室メンバーを、香港の犯罪グループが襲撃し…。 月村さんの警察小説には、デビュー作でもある『機龍警察』シリーズなどがありますね。アジアを舞台に、アクション, 頭脳戦と個性豊かなキャラクターが躍動する圧巻の国際警察小説。


木挽町のあだ討ち

永井 紗耶子

 

ある雪の降る夜、芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆が父親を殺めた下男を斬り、みごとな仇討ちを成し遂げた。2年後、若衆縁者だというある若侍が、大事件の顚末を聞きたいと木挽町を訪れる。人々の話から炙り出される真相は…。永井紗耶子さんによるベストセラー小説『木挽町のあだ討ち』は、2023年山本周五郎賞を受賞しています。窮屈な社会を不器用ながらに生き抜こうとする人々を描いた、革命的時代小説。

 

 

 

まとめ

いかがでしたか? 芥川賞直木賞の選考委員会は、7月19日。 発表を楽しみに待ちましょう!

 

公式サイト


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