今回は、海外産ミステリー小説を3冊ご紹介します。
サスペンス作家が人をうまく殺すには
エル・コシマノ
売れない作家のフィンレイがサスペンス小説の打ち合わせをしていたところ、見知らぬ女性に殺し屋と勘違いされ「夫を殺してほしい」というとんでもない依頼されてしまった! 断ろうとするものの、事態はどんどん困った方向へ…。
一気読み確実!コメディタッチのサスペンスミステリー
作家とはいうものの本が書けず、お金は底をつく寸前、家には請求書の山、電気を止められ、手がかかるが愛しい2人の子どもの親権争いは元夫に取られそう、あーもう、こんな状態だったら人でも殺したくなるわ!
…などと思っていたら本当に殺人の依頼が舞い込んでしまうという、ごく普通(?)の女性が、とにかく巻き込まれて巻き込まれて大ピンチに陥ってしまう、コメディタッチのサスペンスミステリー。
出てくる男性の9割が最低で、いや女性も7割くらいは最低なんですけれども、読後はスッキリ。ロマンス要素もあって、そちらの行方も気になるところ。一気読み確実です!
光を灯す男たち
エマ・ストーネクス
実在する未解決事件を元にした英国ミステリ
イギリスの作家エマ・ストーネクスさんによるミステリ小説。スコットランドで実際に起きた灯台守の失踪事件をモデルにしているそうです。
ストーリーは灯台守たちが消息を絶った1972年と20年後の1992年を行き来し、灯台守たちとその家族の回顧から事件の真相が解き明かされてゆきます。
陸と断絶された灯台という特殊な場所に、彼らはどんな思いを持ち、どのようにして事件は起こってしまったのか。静かで厳かな筆致で紡がれる英国ミステリーです。
闇の牢獄
ダヴィド・ラーゲルクランツ
単純明快だったはずの殺人事件。あとは容疑者の自供を待つのみだが、心理学者のレッケはこの捜査に異を唱える。彼の推測に心を動かされたミカエラは、独自に事件を洗い直し…。
異彩コンビが挑むテロと拷問の闇
スウェーデンの作家によるミステリ小説。
天才的な頭脳を持ったがために心に病を抱えるレッケ、チリ人移民の警官ミカエラのコンビが挑む、一人の男に巣食ったテロと拷問の闇。
"拷問"のキーワードにドキッとしますが、痛々しい表現がちらほらあるものの、過激な暴行シーンなどはありません。レッケは安楽椅子探偵めいたところがあって、ミカエラたちからもたらされる情報から彼が何を導き出すかを楽しむ、という面が強いですかね。
こちらは3部作になる予定で、スウェーデンでは6月に2作目が刊行されたようです。