絵本
絵本作家のかこさとしさんが、ご自身の体験をもとに、昭和十九年、戦争の真っ只中の秋を書かれたお話です。本作は、かこさんの未発表作品でしたが、今の争いの絶えない世界を憂いて、出版が決まったそうです。
この本で描かれるのは、第二次世界大戦中、住民をまで巻き込んだ、むごい沖縄戦の様子。作者である田島征彦さんは、40年以上沖縄に通い、沖縄を舞台にした絵本を何冊も描いてきたそうです。
イギリスでは11月になると、多くの人がヒナゲシの造花を身につけるそうです。 戦争で亡くなった人たちへの想いをこめて。 そのきっかけは、お話の中にも登場するジョン・マクレーの『フランダースの野原に』という詩でした。 巻末では、この詩がどのように人々を動かしたのかを掲載しています。
ノンフィクション
十七歳、通信兵として硫黄島に上陸した秋草鶴次さん。米軍の日本本土への上陸を防ぐため、秋草さんたち兵士に下された命令は「一日でも長く、硫黄島を守る」ことでした。二万一千人余りの兵のうち、生還したのはわずか千二十三人。太平洋戦争のなかでも、もっとも凄惨と言われる硫黄島の戦いを生き抜いた、一人の若き兵士に焼きつけられた戦争の記憶。
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アメリカ人の著者から日本の戦争体験者へ、日米の垣根を越えたインタビュー。そして見えてくる、「戦争とはいったいなんのなのか?」。
戦争のない時代をこれからも繋いでいくためのヒントを探る一冊です。
昭和20年8月15日正午、天皇の肉声による異例のラジオ放送が行われました。そこで伝えられたのは、長きにわたる日本の戦争の終結。しかし、この背景には、天皇をはじめとする様々な人間の葛藤、そして軍人が悲痛な信念で引き起こすクーデターの影があったのです。綿密な取材に基づいて「終戦」の舞台裏を明かしたノンフィクション。
よみもの
1913年の南フランスが舞台の短編小説で
飾らない文章に、しみじみと力強さを感じる作品です。
舞台化、映画化など、フランスで高く評価されている作品。 日本でも、2021年本屋大賞で、翻訳小説部門の2位に選ばれました。 文の量は少なく、おとぎ話のような語り口ですが、読書には少しおかしな表現ですが、目を背けたくなる場面もありました。 戦争の中でも強く光る小さな命。 たくさんの悲しみと愛に溢れたお話です。
舞台は1942年。主人公のセラフィマは、ヒットラー率いるドイツ軍との戦いの前線に、狙撃兵として赴きます。 読みやすい文体ながら、内容は重く、読み進めるのが怖い、辛い場面の連続。 戦争というテーマの中には、女性たちへの理不尽な暴力も含まれており、残虐さがありありと描き出されています。
1996年のアフガン政権崩壊後に始まったタリバンの制圧。 国民は人道的とは言えない生活を強いられます。 主人公の少女ビビも、学校に行けず、町を自由に歩くこともままならない中、 自分の出来ること、やるべきことに精一杯取り組みます。 平和を願う声が、銃や爆弾にかき消されて良いはずはない。 アフガニスタンの歴史をもって、平和へのメッセージを込めた一冊です。
ウクライナ侵攻
24人のウクライナ人の戦中日記。 爆撃の音で目覚め、家を失い、故郷を追われる人々。 日本で暮らし、祖国の安寧と大切な人たちの無事を祈る人々。 何が正解か? 何をするべきか? 突然渦中に放り込まれた人たちの混乱は、本から伝わる以上のものだと思います。 ウクライナの人々のリアルな声が、たくさんの人に届きますように。
ウクライナに住む16歳のズラータさんは、マンガと小説が大好きで普通の女子高生。いつかは日本で暮らしたいと夢見ていました。しかし、ロシアの侵攻により、思いがけず、たった1人で日本に避難することに。この本は、ズラータさんがウクライナから日本を目指した、140日間の日記です。
望みを絶とうとする戦争に、夢を叶えることで立ち向かおうとする
原爆
広島のあるところに、笑った顔をしたお地蔵さまが立っていました。ある日、真っ青に晴れ上がった空に、敵の飛行機があらわれたと思うと、町のまんなかに爆弾を投げつけていき…。
戦争への悲しみと怒りが込められた絵本。
模擬原爆”パンプキン”をテーマにした児童書。原爆を使ったアメリカの考え、当時の日本と外国との関係などにも触れ、「敵」「味方」ではない見方を示してくれます。また、被弾地の図解や参考資料の明記、ノートの取り方のアドバイスもあり、この本をきっかけにして、さらに詳しい調べ学習へと広げていくこともできそうです。
8月9日、ナガサキでは何が起きたのか。 当時15歳だった被爆者たちの体験をもとに、凄惨な当時の様子を著します。彼らの体験と言葉を受け止め、私たちはどこへ向かうべきなのか。これからの時代を考える、ということを、本書では強く訴えています。 1945年の夏、15歳で被爆した著者から、これからを生きる私たちへのメッセージ。
被爆二世でもある希未たち中学生。文化祭、美術部の作品テーマを「あのころの廣島とヒロシマ」とし、周囲の人たちの被爆体験に触れていきます。そこから見えてくる、「よく知っていると思っていた人たちの知らない」姿。近所の女性、先生、父と母――。今もなお、それぞれがそれぞれの後悔や悲しみを抱えて生きていたのです。 原爆が残した過酷な日々を描く反面、鎮魂と未来への祈りの込められたこの物語は、どこまでも美しく綴られています。
戦争を知らない子どもたちが、被爆資料などを通して自分の目線で原爆を捉え、物平和について深く考えていく作品。
「日本に落とした原爆は、本当に必要だったのか? 」をテーマに、アメリカ、ハイスクールの生徒8人が、それぞれ賛成派・反対派に別れて討論会を開く、というあらすじ。 8通りの主張は原爆の是非にとどまらず、戦争と平和の根本を問いかけるお話です。
77年前、広島に落とされた原子爆弾により被曝した、一本のギターを巡る物語。 このお話はフィクションですが、広島で被曝したという、この本のモデルになったギターは、修復され、今もなお広島のギタリストの手で演奏されているそうです。
ホロコースト
第二次世界大戦の最中、フランスのとある村に住む少年ジョーは同じ村に住む老婦人がユダヤ人の子どもを匿っていることを知り、手助けをする。 しかし、ジョーたちの村にもドイツ兵の手が伸びてきて…
大戦中のユダヤ人を巡る史実を取り上げた作品は、児童書にも多くあります。この結末がジョーに与えるのは、救いか、苦しみか。
この本を書いたトーマス・ジーヴさんは、13才のときに、アウシュヴィッツ強制収容所に送られ、およそ2年間そこで暮らすことになります。 収容所から解放されたあと、トーマスさんは自分が経験したこと、見たことをスケッチにあらわしました。 その絵とともに、自分の身に起きたことをこと細かに書き記したこの本は、アウシュヴィッツで何が起きたのかを伝えるだけでなく、今の世界のありかたを考え直させる力があるように思います。
第二次世界大戦、デンマークはなすすべもなくドイツの占領下におかれました。そんな中、自由を求めて奮い立った少年たちがありました。敵の車を破壊し、銃を盗む。彼らの小さな抵抗運動は、やがて国 中の人々に伝染していきます。デンマークで本当にあった、ひとつの勇気を明かすノンフィクション。
ナチスの迫害を逃れ、およそ2年もの間、家族とともに隠れ家生活を送ったアンネ。ナチスに捕らわれるまで書き続けていた日記には、多感な思春期を過ごした少女の夢と悩みが綴られていました。2009年、ユネスコ世界記憶遺産にも登録された世界的名著。
最後までお読みいただきありがとうございました!